◇概要

1983年7月、713系900番台試作車として登場。当時はあくまでも量産先行車として登場したために900番台を名乗っている。713系は、1M2Tで従来の415系の2M2Tと大差ない力行性能を有するような設計が行われている。2019年現在、1M1Tで運用されている。使用路線が九州内に限定されること故に、交流60Hz専用となった。全長20mの2扉車で車体は普通鋼製。冷房は713系用に開発された単相交流用で、集中型のAU710を搭載した。713系の使用対象線区は、交流電化区間の地方中枢都市およびローカル輸送であり、25%勾配区間も考慮に入れた基本方針で設計をすすめた。

 

713系の車体は同様の用途で仙台地区に投入されていた417系と共通する点が多いが、経年劣化対策は当時の新形式車並みにレベルアップしている。先頭形状は従来の近郊型と同じ全面貫通型で、貫通路上部には列車行先表示機(方向幕)がある。ドアは両開き開閉は自動のみとし、半自動扱いは行っていない。戸袋窓は熱戦吸収ガラスを用いているため、この部分に関してはカーテンが省略された。

 

新機軸が多数盛り込まれ量産が見込まれたが、製造コストがかかるため、緊縮財政の国鉄では量産されることなく急行型電車を改造、流用した717系の製造に移行する。またここで盛り込まれた技術は、783系や787系などに活かされる事となる。713系は製造後、南福岡電車区に配属となり主に長崎本線、佐世保線で715系とともに運用に就いていた。

 

1996年3月、鹿児島に転属。同年5月~8月にかけて赤を基調に三色で宮崎の「太陽と海と緑」を表現したサンシャイン塗装化リニューアル工事が行われた。5月には宮崎駅で一般に公開(Lk-4編成)。7月からは宮崎空港線シャトル列車としての役割を果たすこととなった。

 

その後ワンマン化工事及び主制御器載せ替えによる0番台化工事、シングルアームパンタグラフ搭載などを経て現在に至る。現在は定期運用にて宮崎県外に出ることはない。(2002年3月までは西鹿児島(現:鹿児島中央)までの定期運用があった)

◇車両形式

・クモハ713 

奇数方先頭車 主電動機はMT61(150Kw)、制御装置はCS55、10kVA(MHI1083-DM107)MG装備

   900番台 登場形式  2010年改番により消滅。0番台となる。

   0番台  主回路更新工事施工により900番台から改番

・クハ712

偶数方先頭車 トイレ付、CP(MHI1084-C2000)装備

   900番台 登場形式  2010年改番により消滅。0番台となる。

   0番台  主回路更新工事施工により900番台から改番